Layout of Steelpan / スティールパンの配列の仕組み
スティールパン(Steelpan)の演奏打面を見ると、音が円形に並び、低い音から高い音へ順番に配置されているわけではないことに気が付きます。
初めて見る方の多くは、「なぜこのような並び方なの?」「何か法則があるの?」と疑問に思うでしょう。スティールパンの配列には、演奏のしやすさだけでなく、音響学や音楽理論を取り入れた考え方が反映されています。
このページでは、スティールパンの音の配列にどのような法則があるのか、その仕組みを分かりやすく解説します。
Ensuring the range / 音域確保のために
スティールパンの打面は基本的には直径60cmの円になります。
音程が高くなるほど面積が小さくなり、低い音ほどより広い面積を必要とします。
限られた面積にに少しでも多くのノート(音)を配置して、より広い音域を確保するために最適な配列になっています。
Resonance and Overtones / 共鳴と倍音の関係
スティールパンは一枚の鉄からノート(音)を作られています。隣同士の音が振動して鳴らないように、それぞれのノートはグルーブ(溝)で仕切られているとはいえ限界があります。
そこで、僅かになってしまう隣の音が半音や全音ではなく、なるべく綺麗に響く音をが配置されています。
Tenor Panだと、C(ド)の右隣にG(ソ)が配列されています。これは、「五度圏(Circle of Fifth)」の考え方を取り入れた配列になっています。
Circle of Fifth(5度圏)と平均率
例えばドレミファソラシのドを1とすると、5番目の音はソになります。
ソを1と考えてソラシドレミファと並べると、5番目の音はレになります。
この音程関係を完全5度とよび、最も綺麗に響く音程関係とされています。この完全5度をつなげると、
C → G → D → A → E → B …という順番になります。
この関係を円形に並べたものが、「Circle of Fifth(五度圏)」です。
Circle of Fifth
(五度圏)
Tenor Pan Layout / テナーパンの配列について
スティールパン(テナーパン)はCircle of fifthの考え方を応用しています。右上のCircle of Fifthの図と右下のスティールパンの配列を見比べると、音の並び方が完全に一致していることに気が付きます。
実はピアノなど他の楽器でもC(ド)の音を弾くと、5度上のG(ソ)の音や1oct.上のC(ド)など様々な倍音が発生しています。
スティールパンは音を区切っているとはいえ、一枚の鉄から出来ています。
そのため、1つの音を出すとその振動で僅かに隣の音もなってしまいます。その隣の音を自然に発生する倍音の音に配置することで、「他の楽器よりも倍音が豊かな音」として感じるようになります。
逆に特に不協和とされる半音関係にある音程C#(ド#)・B(シ)や、増四度関係にあるF#(ファ#)の音はCとは遠い対角線上に配置されています。
スティールパン
(テナーパン)の打面
Other steelpan layouts / その他のスティールパンの配列
Double Secondの配列
赤:左側のパンの音
緑:右側のパンの音
Double Seoncd Panは1人でドラム缶2つを演奏する楽器です。
平均率の考え方は1octを12音(C・C#・D・D#・E・F・F#・G・G#・A・A#・B)で割っています。12は2で割ることがので、均等に配置できることが分かります。
左側のドラム缶には、C・D・E・F#・G#・A#とWhole Tone Scale(全音音階)を配置しています。
右側のドラム缶には、C#・D#・F・G・A・Bと、
やはりWhole Tone Scale(全音音階)の音を配置しています。
これにより最も不協和音の原因となる半音の音程を同じドラム缶に配置することを防ぎ、どちらのドラム缶もインターバル(音程幅)を均等に保てます。そうして、各ドラム缶の音の鳴り方を均一に美しい音を奏でることができます。
Triple Cello Panの配列
黄色:左側のパンの音
青:中央のパンの音
ピンク:右側のパンの音
1oct.(12音)は3で割れるので、均等に配置できることが分かります。
左側のドラム缶には、C・E♭・G・♭・A・・・と減七和音(Diminish)で
配置されています。真ん中のドラム缶は、C#・E・G・B♭・・・と
減七和音(Diminish)で配置されています。右側のドラム缶は、
D・F・A♭・B・・・と、やはり減七和音(Diminish)で配置されています。
こうすることで、各ドラム缶のインターバル(音程幅)を均等に保ち、各ドラム缶の音の鳴り方を均一にすることができます。
このように、それぞれ楽器ごとで音の配列を工夫することで、
広い音域を確保しつつ、スティールパンの澄んだ音色を出すことが出来るようになっています。
To Enjoy Playing / 配列を理解すると楽しくなる
配列の仕組みを知ることで、
- 音を探す時間が短くなる
- 和音の形が理解しやすくなる
- アドリブや即興演奏がしやすくなる
- 楽譜と楽器の関係が分かりやすくなる
など、多くのメリットがあります。
単に音の位置を覚えるだけでなく、「なぜそこに配置されているのか」を理解することが、上達への近道になります。
FAQ / よくある質問
・同じ種類のスティールパンであれば、すべて同じ配列ですか?
いいえ。似た考え方や法則を採用していますが、楽器メーカー・製作者によって、音域や一部の配置が異なる場合があります。
配置が違うことで、音色に個性が出ます。
・配列が違うと演奏できなくなりますか?
基本的な演奏方法は同じですが、慣れるまでは違和感を覚えます。どの程度配置が異なるかにもよりますが、一般的にはかなり難しくなります。
そのため、遠征先で楽器を借りられる環境であっても予め配置を確認しておく必要があります。
・配列を覚えるコツはありますか?
よく演奏する曲やスケール、コード練習を繰り返すことが効果的です。実際に演奏しながら覚える方が、位置関係を自然に理解しやすくなります。
Experience the Sound / スティールパンの魅力を生演奏で
スティールパンは、写真や文章だけでは伝わらない魅力を持つ楽器です。PAN NOTE MAGICでは、芸術鑑賞会や企業パーティー、ホールコンサートなど、全国でスティールパンの演奏を行っています。
イベントでスティールパンの生演奏をご検討の方は、演奏内容や実績、対応イベントをご紹介している演奏依頼ページをご覧ください。
▶ スティールパン演奏依頼・出演依頼はこちら